近年、AIやIoT、自動運転技術の急速な発展に伴い、半導体の需要は爆発的に増加しています。
その中で、世界最大の半導体ファウンドリーであるTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing)は、世界中のテクノロジー企業から注目を集めています。
今回は、TSMCの事業内容、株価推移、配当金、リスクなどを分析し、投資判断のポイントを解説します。TSMCへの投資を検討している方、半導体業界に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
TSMの魅力:5つのキーワード🔑
世界最大の半導体ファウンドリー
グローバルな顧客基盤
安定した成長性
配当支払い
台湾を代表する企業
TSMとは?
銘柄の基本情報概要
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | Taiwan Semiconductor Manufacturing |
銘柄コード | TSM |
配当利回り | 1.44% |
配当頻度 | 年4回 |
業種 | 半導体 |
セクター | テクノロジー |
創業年 | 1987年 |
CEO | Dr. C. C. Wei |
TSMは、世界最大の半導体ファウンドリーであり、Apple、Qualcomm、Nvidiaなど、世界中の大手テクノロジー企業に半導体製造サービスを提供しています。台湾を代表する企業であり、グローバルな半導体産業において重要な役割を担っています。
銘柄の特徴
- 世界トップクラスの半導体製造技術:
→TSMは、最先端の半導体製造技術を持ち、世界中の顧客に高性能で高品質な半導体を提供しています。
- グローバルな顧客基盤:
→世界中の大手テクノロジー企業を顧客に持ち、安定した収益基盤を築いています。
- 安定した成長性:
→半導体需要の増加に伴い、安定した成長を続けています。
- 配当支払い:
→安定した配当支払いを続けており、配当収入を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
- 環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組み:
→TSMCは持続可能な事業運営に注力しており、再生可能エネルギーの利用拡大、水資源の効率的利用、廃棄物削減などの環境問題への取り組みを進めています。
過去10年の株価推移チャートと分析
TSMの株価は、2015年から2021年にかけて大きく上昇しました。これは、スマートフォンの普及や、AI、IoTなどの新技術の登場による半導体需要の増加が背景にあります。2022年には、世界的な景気減速の影響を受けて株価は下落しましたが、2023年以降は再び上昇トレンドに転じています。
・2015年~2019年:比較的安定した上昇トレンド
・2020年:コロナ禍でも堅調に推移
・2021年:過去最高値を更新
・2022年:世界的な景気減速の影響で下落
・2023年~2024年:再び上昇トレンドへ
TSMは、今後も半導体需要の増加を背景に、長期的な成長が期待できる銘柄と言えるでしょう。しかし、地政学リスクや競争の激化など、注意すべき点もいくつかあります。
S&P500過去1年分チャートとの比較と分析
過去1年間のパフォーマンスは、TSMが79.88%上昇、S&P500が27.29%上昇となっており、TSMはS&P500を大きくアウトパフォームしています。これは、TSMの高い成長性が評価された結果と言えるでしょう。しかし、ボラティリティが高い点には注意が必要です。
TSMの配当金の分析
過去の配当金と増配率、その分析
TSMは、2015年から増配傾向にあります。特に2018年と2019年は大幅な増配となりました。しかし、2020年には減配、その後は微減と増配を繰り返しており、増配率が安定していない点は気になります。
配当金利回りの推移
TSMの配当利回りは、市場平均を上回る水準で推移しています。しかし、近年は株価上昇の影響で、利回りが低下傾向にあります。
将来のYOC予想シミュレーション
年 | 予想年間配当利回り |
---|---|
2024年 | 1.44% |
2025年 | 1.77% |
2026年 | 2.18% |
2027年 | 2.69% |
2028年 | 3.31% |
2029年 | 4.07% |
2030年 | 5.02% |
2031年 | 6.17% |
2032年 | 7.60% |
2033年 | 9.36% |
2034年 | 11.52% |
現在の株価上昇率・配当利回りが継続した場合、10年後のYOCは11.52%に達すると予想されます。例えば、100万円を投資した場合、初年度の配当金は約1.44万円、10年後には約11.52万円になります。長期投資することで、配当収入が大きく増加する可能性があります。しかし、これはあくまで過去の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
半導体業界の巨人たち:TSM・NVDA・AMD・INTL徹底比較
銘柄名 | 銘柄コード | 過去1年のパフォーマンス | 配当利回り | 特徴 |
---|---|---|---|---|
台湾積体電路製造 | TSM | 79.88% | 1.48% | 世界最大の半導体ファウンドリ |
エヌビディア | NVDA | 162.37% | 0.03% | GPU市場のリーダー、AI関連事業に注力 |
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ | AMD | 49.02% | - | CPU/GPU市場でNVIDIAと競合 |
Main International ETF | INTL | 11.80% | 0.58% | 米国を除く国際株式に投資するETF |
10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015年 | 107.1 | 3.5 | 110.6 | 110.6 |
2016年 | 106.2 | 4.5 | 114.2 | 114.1 |
2017年 | 140.9 | 5.6 | 154.5 | 157.0 |
2018年 | 197.2 | 6.5 | 217.2 | 226.2 |
2019年 | 175.6 | 9.7 | 205.2 | 211.1 |
2020年 | 288.7 | 8.2 | 326.5 | 355.2 |
2021年 | 537.0 | 9.1 | 584.0 | 669.9 |
2022年 | 619.2 | 8.9 | 675.1 | 781.4 |
2023年 | 355.9 | 8.9 | 420.7 | 458.0 |
2024年 | 800.2 | 5.3 | 870.2 | 1034.9 |
10年前にTSMに100万円を投資していた場合、2024年には約10倍の800万円に成長している計算になります。さらに、配当金を再投資していた場合は、約1035万円にまで増加しています。これは、TSMの高い成長力と配当の魅力を示しています。しかし、ボラティリティが高く、大きな下落リスクもある点には注意が必要です。
リスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 1.29 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場平均よりもややボラティリティが高い |
52週ボラティリティ | 130.27% | 過去1年間の株価の変動幅 | ボラティリティが高い |
シャープレシオ | 1.75 | リスクに対するリターンの効率性を示す指標 | 高い |
トータルリターン(1年) | 79.69% | 過去1年間の株価上昇率と配当金を含めたリターン | 高いパフォーマンス |
最大ドローダウン | -22.56% | 過去1年間で最も大きく下落した割合 | 大きな下落リスクがある |
PER | 29.41 | 株価収益率。割高かどうかを判断する指標 | 市場平均よりも高い |
PBR | 1.14 | 株価純資産倍率。割高かどうかを判断する指標 | 市場平均よりもやや高い |
BPS | 146 | 1株あたり純資産 | - |
ROE | 26.25% | 自己資本利益率。収益性を示す指標 | 高い収益性 |
TSMは、高い収益性と高いシャープレシオを誇っています。しかし、ボラティリティが高く、地政学リスクも抱えています。
投資戦略の提案
- 長期投資: TSMは、長期的な成長が期待できる銘柄です。短期的な株価変動に惑わされず、長期的な視点で投資することが重要です。
- 積立投資: 積立投資を行うことで、リスクを分散し、安定したリターンを得ることができます。
- ポートフォリオの一部として保有: TSMをポートフォリオの一部として保有することで、リスク分散効果が期待できます。
- 情報収集: 半導体業界の動向やTSMの業績などを常にチェックし、最新の情報に基づいて投資判断を行うことが重要です。
まとめと投資判断のポイント
TSMは、世界最大の半導体ファウンドリーであり、高い成長性と収益性を誇る魅力的な銘柄です。長期投資や積立投資、ポートフォリオの一部としての保有など、様々な投資戦略が考えられます。しかし、ボラティリティが高く、地政学リスクも抱えている点には注意が必要です。投資判断を行う際には、自身の投資スタイルやリスク許容度などを考慮し、慎重に判断することが重要です。
TSMの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
世界トップクラスの半導体製造技術
→TSMCは、最先端の半導体製造技術を誇り、世界中の顧客に高性能で高品質な半導体を提供しています。この技術力は、TSMCの競争優位性を支える重要な要素です。
グローバルな顧客基盤
→Apple、Qualcomm、Nvidiaなど、世界中の大手テクノロジー企業を顧客に持つTSMCは、安定した収益基盤を築いています。幅広い顧客層は、特定の顧客への依存度を低減し、リスク分散にも貢献しています。
安定した成長性
→半導体需要の増加に伴い、TSMCは安定した成長を続けています。今後も、AI、IoT、自動運転技術などの成長分野における需要拡大が見込まれており、TSMCの成長性は今後も期待できます。
配当支払い
→TSMCは安定した配当支払いを続けており、配当収入を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっています。ただし、配当利回りは比較的低く、増配率も安定していない点には注意が必要です。
地政学リスク
→TSMCは台湾に拠点を置く企業であり、中国との政治的な緊張関係はリスク要因となります。地政学的なリスクは、TSMCの事業や株価に影響を与える可能性があります。
競争の激化
→半導体業界は競争が激化しており、SamsungやIntelなどの競合企業との競争は、TSMCの収益性に影響を与える可能性があります。
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