「S&P500指数に連動する投資商品って、たくさんあってどれを選べばいいかわからない…」
「もっと大きなリターンを狙える投資商品はないの?」
そんな悩みを抱えている方もいるかもしれません。
この記事では、S&P500指数の3倍の値動きを目指すレバレッジ型ETF「Direxion Daily S&P500 Bull 3X Shares(SPXL)」について、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
「レバレッジ型ETFって、なんだか難しそう…」
「リスクが高いって聞くけど、大丈夫?」
という疑問にも、具体的なデータやシミュレーションを交えてお答えします。SPXLの基本情報はもちろん、過去のパフォーマンスやリスク分析、将来の配当予想まで、投資判断に必要な情報を網羅しています。
SPXLの驚異的なパフォーマンスと、あなたの投資戦略を変える可能性を一緒に探求しましょう!
SPXLとは?
銘柄の基本情報概要
項目 | SPXL |
---|---|
銘柄名 | Direxion Daily S&P500 Bull 3X Shares |
ティッカーシンボル | SPXL |
運用会社 | Direxion Investments |
配当利回り | 0.65% (2024年) |
経費率 | 0.91% |
設定日 | 2008-11-05 |
運用資産総額 | 58.8億ドル |
特徴 | S&P500の3倍の値動き |
Direxion Daily S&P500 Bull 3X Shares(SPXL)は、米国籍のETF(上場投資信託)です。Direxion Investmentsが運用しており、S&P500種指数の日々の変動率の3倍の投資成果を目指すように設計されています。つまり、S&P500指数が1%上昇すれば、SPXLは約3%上昇し、逆にS&P500指数が1%下落すれば、SPXLは約3%下落します。レバレッジ型ETFであるため、高いリターンが期待できる一方で、リスクも高くなることに注意が必要です。
※ベンチマークの説明
SPXLのベンチマークはS&P500指数です。S&P500指数は、米国を代表する大型株500銘柄で構成される株価指数で、米国の株式市場全体の動向を示す指標として広く利用されています。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表しており、時価総額加重平均型の指数です。時価総額の大きい企業の株価変動の影響を大きく受ける特徴があります。
SPXLのセクター比率
セクター名 | パーセント |
---|---|
Technology | 32.31% |
Financial Services | 12.88% |
Healthcare | 12.24% |
Consumer Cyclical | 9.77% |
Communication Services | 8.78% |
Industrials | 7.56% |
Consumer Defensive | 6.00% |
Energy | 3.55% |
Utilities | 2.55% |
Real Estate | 2.36% |
SPXLはS&P500指数の3倍の値動きを目指すETFであるため、セクター比率もS&P500指数とほぼ同じ構成となっています。最も比率が高いのはテクノロジーセクターで、全体の約3分の1を占めています。次いで、金融サービス、ヘルスケア、一般消費財、コミュニケーションサービスと続きます。
テクノロジーセクターの比率が高いため、テクノロジー企業の業績や株価動向に大きく影響を受けます。また、金融サービスやヘルスケアの比率も比較的高いため、金利動向や規制変更などの影響も受けやすいと言えます。
SPXLの過去10年の株価チャートと分析
SPXLの過去10年間の株価チャートを見ると、非常に大きな値動きをしていることがわかります。これは、SPXLがS&P500指数の3倍の値動きを目指すレバレッジ型ETFであるためです。
- 2015年から2019年にかけては、米国経済の拡大に伴い、S&P500指数は概ね上昇基調にありました。SPXLの株価も、この間大きく上昇しています。
- 2020年初頭には、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な景気後退懸念から、S&P500指数は急落しました。SPXLの株価も、この影響を受けて大きく下落しました。
- 2020年後半以降は、各国の金融緩和や経済対策により、S&P500指数は回復基調となりました。SPXLの株価も、これに伴って急上昇しています。
- 2022年以降は、インフレ懸念や金融引き締めへの警戒感から、S&P500指数は不安定な動きとなっています。SPXLの株価も、この影響を受けて大きく変動しています。
このように、SPXLの株価は、S&P500指数の値動きに大きく影響されます。また、レバレッジがかかっているため、値動きの幅が非常に大きくなる傾向があります。
また、レバレッジ型ETFは、基準となる指数の日々の変動率にレバレッジをかける仕組みであるため、長期間保有すると、基準となる指数との乖離が大きくなる傾向があります。これを「減価」と呼びます。SPXLも、長期間保有することで、パフォーマンスとの乖離が大きくなる可能性があることに注意が必要です。
SPXLとS&P500の過去1年分のチャート比較と分析
SPXLとS&P500指数の過去1年間のパフォーマンスを比較すると、SPXLがS&P500指数を大きく上回っていることがわかります。
- SPXL:82.56%の上昇
- S&P500:28.13%の上昇
過去1年間は、米国経済の回復や企業業績の改善などを背景に、S&P500指数が上昇基調となりました。SPXLは、この上昇相場の恩恵を大きく受け、高いパフォーマンスを達成しました。ただし、S&P500指数が下落した局面では、SPXLの損失も大きくなることに注意が必要です。例えば、2024年4月・8月の値動きを見ると、大幅な下落となっていることがわかります。
このように、SPXLはS&P500指数の上昇局面では大きな利益を得られる可能性がある一方、下落局面では損失も大きくなるため、リスク管理が非常に重要となります。
SPXLで配当金生活はできる?配当金の分析
SPXLの過去の配当金と増配率、その分析
SPXLの過去の配当金推移を見ると、配当金の支払いが不安定であることがわかります。2017年には1.72ドルの配当金が支払われましたが、2018年には0.34ドルに減配されています。その後も、増配と減配を繰り返しています。
これは、SPXLがレバレッジ型ETFであり、主にキャピタルゲイン(値上がり益)を狙う投資商品であるためです。配当金は運用収益の一部から支払われますが、SPXLの運用収益は主にスワップ取引や先物取引から得られるため、配当金の支払いは安定しません。
SPXLの配当金利回りの推移
SPXLの配当金利回りは、非常に低い水準で推移しています。2024年の配当金利回りは0.65%と予想されており、これはS&P500指数の平均的な配当金利回りと比べても低い水準です。
過去の推移を見ても、SPXLの配当金利回りは1%を下回ることが多く、高い水準とは言えません。これは、SPXLがレバレッジ型ETFであり、主にキャピタルゲインを狙う投資商品であるためです。
したがって、SPXLは配当金利回り狙いの投資には向いていないと言えます。
過去SPXLに投資していた場合のYOCシミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2014 | 5.6 |
2015 | 5.93 |
2016 | 4.56 |
2017 | 2.77 |
2018 | 3.73 |
2019 | 1.86 |
2020 | 1.7 |
2021 | 0.86 |
2022 | 1.98 |
2023 | 1.18 |
2024 | 0.65 |
YOC(Yield on Cost)とは、投資元本に対する配当利回りのことです。過去にSPXLに投資していた場合、購入した年によってYOCは大きく異なります。
例えば、2014年にSPXLに投資していた場合、2024年のYOCは5.6%となります。これは、2014年の株価が低かったため、相対的に配当利回りが高くなっているためです。一方、近年投資した場合のYOCは低く、2023年に投資した場合の2024年のYOCは1.18%、2024年に投資した場合のYOCは0.65%となります。
SPXLの将来のYOC予想シミュレーション
年 | 予想YOC |
---|---|
2024 | 0.65 |
2025 | 0.80 |
2026 | 0.99 |
2027 | 1.23 |
2028 | 1.52 |
2029 | 1.88 |
2030 | 2.32 |
2031 | 2.87 |
2032 | 3.54 |
2033 | 4.38 |
2034 | 5.42 |
過去10年間の株価成長率をもとに将来のYOC予想シミュレーションを行ってみると、現在の株価と配当利回りが維持された場合、100万円をSPXLに投資すると初年度の配当金は約6,500円となり、10年後にはYOCは約5.42%まで上昇すると予想されます。
しかし、これはあくまで過去の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
SPXLで配当金生活をするには?SPXLの配当金受取シミュレーション
配当金生活をするには?配当金による不労所得でFIREはできる?
毎月の配当受取目標と必要な投資額のシミュレーション ※日次更新
(毎月10万円配当を受け取るために必要な投資額)
銘柄 | 株価 | 配当利回り | 月間配当目標 | 必要投資額 | 必要投資額 (課税考慮) |
必要株数 |
---|---|---|---|---|---|---|
SPXL | $173.96 (¥27,286) |
0.72% | ¥10,000 | ¥16,771,270 | ¥23,385,511 | 858株 |
¥30,000 | ¥50,313,811 | ¥70,156,534 | 2,572株 | |||
¥50,000 | ¥83,856,351 | ¥116,927,556 | 4,286株 | |||
¥100,000 | ¥167,712,702 | ¥233,855,113 | 8,571株 |
為替レート: 156.85円/ドル
SPXLへ過去に投資していた場合の累積トータルリターン
銘柄 | 期間 | リターン |
---|---|---|
SPXL | 1年 | 84.4% |
SPXL | 3年 | 46.8% |
SPXL | 5年 | 201.4% |
SPXL | 7年 | 335.7% |
SPXL | 10年 | 802.5% |
SPXLの累積トータルリターンを見ると、長期的には非常に高いリターンを上げています。特に、2020年以降の上昇が著しく、5年で201.4%、7年で335.7%、10年で802.5%という驚異的なリターンを記録しています。
SPXLへ過去に投資していた場合の年率(CAGR)トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 84.4% |
3年 | 13.6% |
5年 | 24.7% |
7年 | 23.4% |
10年 | 24.6% |
SPXLの年率(CAGR)トータルリターンを見ると、5年、7年、10年のリターンがいずれも20%を超えており、非常に高いパフォーマンスを示しています。これは、長期的にはS&P500指数が上昇傾向にあり、その3倍の値動きをするSPXLが大きな恩恵を受けていることを示しています。一方、3年リターンは13.6%と他の期間に比べて低く、これは2022年の下落局面が影響していると考えられます。また、1年リターンは84.4%と非常に高いですが、これは2023年の急上昇によるものであり、一時的なものである可能性があります。
SPXLへ10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015 | 94.5 | 0 | 94.5 | 94.5 |
2016 | 122.8 | 0 | 122.8 | 122.8 |
2017 | 202.1 | 7.8 | 210.0 | 206.9 |
2018 | 150.0 | 1.5 | 159.4 | 155.7 |
2019 | 301.3 | 2.5 | 313.2 | 314.0 |
2020 | 329.5 | 0.7 | 342.1 | 344.0 |
2021 | 653.9 | 0.7 | 667.3 | 683.1 |
2022 | 283.2 | 0.9 | 297.5 | 298.1 |
2023 | 474.2 | 4.6 | 493.1 | 502.0 |
2024 | 855.7 | 4.2 | 878.8 | 908.3 |
SPXLへ10年前に100万円投資した場合、2024年には評価額が約855.7万円、配当再投資評価額が約908.3万円となり、投資額は約9倍に増加しています。特に2020年以降の成長が著しく、2021年には評価額が653.9万円まで増加しました。これは、2020年以降の金融緩和や経済対策による株価上昇が大きく寄与していると考えられます。
一方、2018年や2022年のような下落局面では、評価額が大きく減少しており、ボラティリティの高さがうかがえます。また、配当金はほとんどなく、キャピタルゲインに依存していることがわかります。
SPXLのリスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 2.99 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場の約3倍の値動き |
52週ボラティリティ | 36.03% | 過去1年間の価格変動の大きさ | 非常に高い |
シャープレシオ | 1.87 | リスクあたりのリターン | 高い |
トータルリターン(1年) | 84.30% | 過去1年間のトータルリターン | 非常に高い |
最大ドローダウン | -76.86% | 過去最大の値下がり幅 | 非常に大きい |
SPXLのリスクファクター分析を見ると、ベータが2.99と非常に高く、市場全体の約3倍の値動きをすることがわかります。また、52週ボラティリティも36.03%と非常に高く、価格変動が大きいことを示しています。これは、SPXLがレバレッジ型ETFであるためです。
シャープレシオは1.87と高く、リスクに対して高いリターンを得ていることを示していますが、最大ドローダウンは-76.86%と非常に大きく、大きな損失を被る可能性があります。これらのことから、SPXLはハイリスク・ハイリターンのETFであると言えます。
SPXLへの投資戦略の提案
SPXLは、S&P500指数の3倍の値動きを目指すレバレッジ型ETFであり、短期間で大きな利益を狙うことができる一方、大きな損失を被るリスクもあります。
- 短期トレード: SPXLは、S&P500指数の短期的な上昇局面で利益を狙う短期トレードに適しています。ただし、下落局面では損失も大きくなるため、損切りの徹底が必要です。
- リスク管理: SPXLはボラティリティが非常に高いため、投資額を抑える、他の資産と組み合わせるなどのリスク管理が重要です。
- 長期保有は避ける: SPXLは、減価リスクがあり、長期保有では原指標と比較してパフォーマンスが逓減していく特性があるため、長期保有には向いていません。
まとめ:SPXLへの投資判断のポイント
SPXLは、S&P500指数の3倍の値動きを目指すレバレッジ型ETFであり、短期間で大きな利益を得られる可能性がある一方、大きな損失を被るリスクもあります。過去のパフォーマンスを見ると、長期的には高いリターンを上げていますが、ボラティリティが非常に高く、最大ドローダウンも大きいことがわかります。また、配当金はほとんどなく、キャピタルゲインに依存しています。
したがって、SPXLは、短期的なトレードに適したETFであり、長期保有には向いていません。結果的にSPXLの現在の株価は過去より大幅に上昇していますが、SPXLに投資する際には、リスクを十分に理解し、投資額や損切りなどのリスク管理を徹底することが重要です。また、大きな損失を許容できない投資家や、長期的な資産形成を目指す投資家には、SPXLは適していません。
SPXLの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
短期的な高いリターン
→ SPXLはS&P500指数の3倍の値動きを目指すため、短期間で大きなリターンを得られる可能性があります。特に、S&P500指数が上昇トレンドにある局面では、その効果が最大限に発揮されます。
S&P500指数への連動性
→ SPXLは、米国を代表する大型株500銘柄で構成されるS&P500指数に連動するため、米国株式市場全体の成長の恩恵を受けることができます。
配当利回り
→ SPXLの配当利回りは0.65%(2024年)と低く、配当金の支払いは不安定です。配当収入を目的とした投資には向いていません。
高いボラティリティ
→ SPXLはレバレッジ型ETFであるため、値動きが非常に大きくなります。S&P500指数が下落した場合、損失も大きくなるため、高いリスク許容度が求められます。
長期保有リスク
→ SPXLは、長期的には逓減リスクがあるため、長期保有には向いていません。短期的なトレードに適したETFと言えます。
経費率
→ SPXLの経費率は0.91%と、一般的なインデックスファンドと比べて高めです。
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