配当利回り10%超え、石油大国ブラジルの国営企業ペトロブラス(PBR)。高配当という響きは投資家にとって非常に魅力的ですが、本当に安心して投資できるのでしょうか?
この記事では、PBRの株価推移、配当金の安定性、将来の成長性、そしてリスクファクターまで、徹底的に分析していきます。
データに基づいた分析と将来展望、リスク評価を提供することで、あなたがPBRへの投資判断を下す際の一助となることを目指します。さあ、一緒にPBRの真価を探っていきましょう!
PBRとは?
PBRの基本情報概要
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | ペトロブラス(Petróleo Brasileiro S.A.) |
銘柄コード | PBR |
配当金利回り | 14.24% |
配当金頻度(年何回) | 4回 |
業界 | 石油・ガス統合事業 |
セクター | エネルギー |
創業年 | 1953年 |
CEO | マグダ・マリア・デ・レジーナ・シャンブリアード |
特徴 | 南米最大級の石油会社 |
ペトロブラスは、ブラジルを代表する石油・ガス生産会社です。石油の探査、生産、精製、販売を手掛け、石油タンカーやパイプライン網、ターミナル、火力発電所なども運営しています。南米を中心に世界で事業を展開し、特にブラジル国内の石油・ガス市場において支配的な地位を占めています。
ペトロブラスの大きな特徴としては、ブラジル政府が約50%の議決権を保有する半官半民企業であることです。
ブラジルにとっても、ペトロブラスによる配当は重要な収入源の一つとなっています。
過去10年の株価チャートと分析
ペトロブラスの株価は過去10年間で大きな変動を見せています。2015年から2016年にかけては原油価格の暴落を受け、株価は大きく下落しました。その後、2017年から2019年にかけては緩やかに回復しましたが、2020年にはコロナ禍の影響で再び下落しました。しかし、2021年以降は原油価格の回復と世界的なエネルギー需要の増加を背景に、株価は上昇傾向にあります。
S&P500過去1年分チャートとの比較と分析
過去1年間のパフォーマンスを見ると、ペトロブラスの株価はS&P500を下回っています。S&P500が約30%上昇する中、ペトロブラスは約10%下落しています。これは、原油価格の変動や地政学的リスク、ブラジル国内の政治経済状況の影響を受けていると考えられます。しかし、エネルギー価格が上昇する局面では、ペトロブラスはS&P500をアウトパフォームする可能性を秘めています。
PBR(ペトロブラス)で配当金生活はできる?配当金の分析
ペトロブラスの過去の配当金と増配率、その分析
ペトロブラスの配当金は、2021年以降大幅に増加しました。2021年には2.08ドル、2022年には6.57ドルと急増しましたが、2023年には2.94ドル、2024年には1.48ドルと減少傾向にあります。この変動は原油価格の変動や企業の収益状況に大きく影響されています。配当金の安定性を重視する投資家にとっては、気になる点と言えるでしょう。
ペトロブラスの配当金利回りの推移
ペトロブラスの配当利回りは、過去10年間で大きく変動しています。2015年から2017年にかけては、配当利回りはほぼゼロでした。しかし、2018年以降は原油価格の回復とともに配当利回りが上昇し、2022年には60%を超える水準に達しました。ただし、2023年以降は減配の影響で配当利回りは低下しており、2024年11月時点では14.24%となっています。
ペトロブラスに投資していた場合のYOCシミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2014 | 27.73% |
2015 | 47.07% |
2016 | 20.02% |
2017 | 19.67% |
2018 | 15.56% |
2019 | 12.70% |
2020 | 18.02% |
2021 | 18.43% |
2022 | 19.00% |
2023 | 12.67% |
2024 | 14.24% |
YOC(Yield on Cost)とは、投資元本に対する配当利回りのことです。過去にPBRに投資していた場合、高いYOCを実現できていました。例えば、2014年にPBRに100万円投資していた場合、2024年のYOCは27.73%となり、年間約28万円の配当金を受け取ることができます。
ペトロブラスの将来のYOC予想シミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2024 | 14.24% |
2025 | 14.68% |
2026 | 15.13% |
2027 | 15.60% |
2028 | 16.08% |
2029 | 16.57% |
2030 | 17.08% |
2031 | 17.61% |
2032 | 18.15% |
2033 | 18.71% |
2034 | 19.28% |
過去10年の株価成長率をもとに将来のYOC予想シミュレーションを行ってみると、現在の株価と配当利回りが維持された場合、100万円投資すると初年度の配当金は約14.24万円となり、10年後にはYOCは約19.28%まで上昇すると予想されます。しかし、これはあくまで過去の成長率と配当利回りが継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
ペトロブラスで配当金生活をするには?PBRの配当金受取シミュレーション
配当金生活をするには?配当金による不労所得でFIREはできる?
毎月の配当受取目標と必要な投資額のシミュレーション ※日次更新
(毎月10万円配当を受け取るために必要な投資額)
銘柄 | 株価 | 配当利回り | 月間配当目標 | 必要投資額 | 必要投資額 (課税考慮) |
必要株数 |
---|---|---|---|---|---|---|
PBR | $14.28 (¥2,224) |
14.17% | ¥10,000 | ¥846,640 | ¥1,180,538 | 531株 |
¥30,000 | ¥2,539,921 | ¥3,541,613 | 1,593株 | |||
¥50,000 | ¥4,233,202 | ¥5,902,688 | 2,655株 | |||
¥100,000 | ¥8,466,403 | ¥11,805,377 | 5,310株 |
為替レート: 155.71円/ドル
PBR(ペトロブラス)へ過去に投資していた場合の累積トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 0.7% |
3年 | 260.0% |
5年 | 161.0% |
7年 | 289.2% |
PBRに過去に投資していた場合、長期的に見ると高いリターンを実現できていました。特に、2020年以降は原油価格の回復を背景に、リターンが大きく上昇しています。
PBR(ペトロブラス)へ過去に投資していた場合の年率(CAGR)トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 0.7% |
3年 | 53.3% |
5年 | 21.1% |
7年 | 21.4% |
PBRに過去に投資していた場合、年率リターンはいずれもプラスとなっています。これは、長期投資においてPBRが魅力的な投資対象であることを示唆しています。
PBR(ペトロブラス)へ10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015 | 58.9 | 0.0 | 58.9 | 58.9 |
2016 | 138.5 | 0.0 | 138.5 | 138.5 |
2017 | 141.0 | 0.0 | 141.0 | 141.0 |
2018 | 178.2 | 1.8 | 180.1 | 179.7 |
2019 | 218.4 | 2.1 | 222.2 | 221.8 |
2020 | 153.8 | 1.2 | 158.9 | 158.0 |
2021 | 150.4 | 28.5 | 184.0 | 184.4 |
2022 | 145.9 | 90.0 | 269.5 | 292.7 |
2023 | 218.8 | 40.3 | 382.6 | 492.7 |
2024 | 194.7 | 20.2 | 378.8 | 489.6 |
PBRに10年前に100万円投資していた場合、2023年には評価額が約2倍、配当金再投資では約5倍に増加していました。特に、2021年以降は原油価格の上昇と高配当により、資産が大きく増加しています。
PBR(ペトロブラス)のリスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 0.91 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場平均よりやや変動が小さい |
52週ボラティリティ | 29.71% | 過去1年間の価格変動の大きさ | ボラティリティが高い |
シャープレシオ | 0.08 | リスクあたりのリターン | リスクあたりのリターンが低い |
トータルリターン(1年) | -0.14% | 過去1年間のトータルリターン | 過去1年間のリターンはマイナス |
最大ドローダウン | -73.43% | 過去最大の値下がり幅 | 下落リスクが非常に高い |
PER | 4.05 | 株価収益率 | 割安 |
PBR | 1.32 | 株価純資産倍率 | 割安 |
BPS | 11 | 1株あたり純資産 | - |
ROE | 32.69% | 自己資本利益率 | 高い収益性 |
PBRは、PER、PBRともに割安水準であり、ROEも高く収益性が高いという特徴があります。しかし、ボラティリティと最大ドローダウンが大きく、リスクが高いことも事実です。また、シャープレシオが低く、リスクあたりのリターンが低い点も懸念材料です。
PBR(ペトロブラス)への投資戦略の提案
PBRへの投資は、高配当とキャピタルゲインの両方を期待できる一方、原油価格の変動やブラジル国内の政治経済リスクなど、注意すべき点も多いです。
- 長期投資: PBRは、高配当を目的とした長期投資に適しています。
- 分散投資: PBRをポートフォリオの一部として保有することで、リスク分散効果を期待できます。
- 積立投資: 毎月一定額を積立投資することで、価格変動リスクを軽減できます。
- エネルギー価格の動向: 投資する際には、原油価格や天然ガス価格などのエネルギー価格の動向を注視することが重要です。
- ブラジルの政治経済状況: ブラジルの政治経済状況にも注意が必要です。政情不安や経済の悪化は、PBRの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
まとめ:PBR(ペトロブラス)への投資判断のポイント
PBRは、高い配当利回りと割安な株価が魅力的な投資対象です。しかし、株価のボラティリティや配当金の安定性、ブラジルという新興国特有のリスクなど、投資判断にあたっては慎重に検討する必要があります。PBRへの投資は、リスク許容度が高い投資家に向いていると言えるでしょう。
ペトロブラスの投資判断で重要なポイント
総合評価:
高配当利回り
→14%を超える配当利回りは魅力的。ただし、減配リスクも考慮する必要あり。
配当の安定性
→過去には減配や無配の時期も。原油価格や企業業績に左右されやすい。
原油価格への依存
→原油価格の上昇はプラス材料だが、下落は業績悪化に直結する可能性も。
ブラジルの政治・経済リスク
→新興国であるブラジルの政治経済状況は不安定要素。
割安な株価
→PER、PBRともに割安水準。今後の成長次第では株価上昇の可能性も。
株価のボラティリティ
→株価の変動幅が大きく、リスクが高い。
ESG投資の観点
→環境問題への取り組みは評価できる点もあるが、石油・ガス企業としてのリスクも存在。
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