「AI、5G、IoT...」テクノロジーの進化に欠かせない「メモリ」。
そのメモリ市場で世界トップクラスのシェアを誇るのが、マイクロン・テクノロジー(MU)です。
成長市場の恩恵を受ける一方で、需要変動のリスクも孕むMU。
今回は、MUへの投資判断に役立つポイントを、チャートやデータを用いながらわかりやすく解説していきます。
MUの魅力:5つのキーワード🔑
世界最大級のメモリメーカー
テクノロジーの進化と共に成長
需要変動の影響を受けやすい
増配傾向の配当金
業績は市況に左右される
MUとは?
銘柄の基本情報概要
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | マイクロン・テクノロジー |
銘柄コード | MU |
配当利回り | 0.43% |
配当頻度 | 年4回 |
業種 | 半導体 |
セクター | テクノロジー |
創業年 | 1978年 |
CEO | Sanjay Mehrotra |
マイクロン・テクノロジー(Micron Technology, Inc.)は、DRAMチップ、SRAMチップ、フラッシュメモリといった、現代のコンピューティングに不可欠なメモリおよびストレージソリューションを提供する世界的なリーディングカンパニーです。これらの製品は、コンピュータ、スマートフォン、データセンター、自動車など、幅広い電子機器に搭載されています。
銘柄の特徴
- 世界最大級のメモリメーカー:
マイクロンテクノロジーは、サムスン電子、SK Hynixと並んで、世界のDRAMおよびNAND型フラッシュメモリの三大メーカーの一角を占めています。
- 広範な顧客ベース:
コンピューター、スマートフォン、データセンター、自動車など、多岐にわたる業界の顧客に製品を提供しており、特定の顧客への依存度が低くなっています。
- 増配傾向の配当金:
2021年から配当金の支払いを開始し、増配傾向にあります。ただし、配当利回りは現時点で比較的低くなっています。
- 市況の影響を受けやすい:
メモリ市場は、需要と供給のバランスによって価格が大きく変動する傾向があり、マイクロンテクノロジーの業績もその影響を受けやすいです。
- 成長市場への投資:
AI、5G、IoTといった成長市場において、メモリ需要の増加が見込まれており、マイクロンテクノロジーはこれらの市場への投資を積極的に行っています。
過去10年の株価推移チャートと分析
MUの株価は過去10年間で、メモリ市況の波に乗りながらも全体的には上昇トレンドを示しています。2017年後半から2018年にかけて、データセンターやスマートフォン向けメモリの需要増加により株価は大きく上昇しました。しかし、2019年にはメモリ需要の減速により株価は下落に転じました。2020年以降は、コロナ禍による在宅勤務やオンライン学習の増加、5Gの普及などにより再びメモリ需要が高まり、株価は上昇傾向にあります。
S&P500過去1年分チャートとの比較と分析
MUの過去1年間の株価上昇率は68.84%と、S&P500の上昇率26.24%を大きく上回っています。これは、メモリ需要の増加や供給制約などが要因と考えられます。しかし、MUはS&P500と比較してボラティリティが高く、短期的な値動きが大きい点に注意が必要です。
MUの配当金の分析
過去の配当金と増配率、その分析
MUは2021年から配当金の支払いを開始し、2022年には大幅な増配を実施しました。これは、業績の拡大や財務状況の改善を背景とした株主還元策の一環と考えられます。しかし、配当支払いの開始は比較的最近であり、安定性はまだ低い点が懸念材料として挙げられます。
配当金利回りの推移
MUの配当利回りは、株価の変動によって上下に変動しています。2023年には株価が下落した影響で配当利回りが上昇しましたが、2024年には株価が回復したため、配当利回りは低下しました。
将来のYOC予想シミュレーション
年 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | 2033 | 2034 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
YOC | 0.43% | 0.48% | 0.54% | 0.61% | 0.68% | 0.77% | 0.86% | 0.97% | 1.09% | 1.23% | 1.39% |
現在の株価上昇率と配当利回りが継続すると仮定した場合、100万円を投資すると、初年度は4,300円の配当金が得られます。10年後には配当金は約13,900円に増加し、YOCは1.39%に達する見込みです。
しかし、これはあくまで過去の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
米国株・韓国株で比較!半導体銘柄のパフォーマンス分析
銘柄名 | 銘柄コード | 過去1年のパフォーマンス | 配当利回り | 特徴 |
---|---|---|---|---|
マイクロン・テクノロジー | MU | 68.84% | 0.43% | DRAM、NAND型フラッシュメモリで世界最大級のサプライヤー |
サムスン電子 | 005930.KS | 20.42% | 1.87% | スマートフォン、家電、テレビなど多岐にわたる電化製品で世界最大手 |
SK hynix | 000660.KS | 71.56% | 0.64% | メモリ半導体であるDRAMとNAND型フラッシュメモリを主力製品とする韓国の半導体メーカー |
TSMC | TSM | 88.57% | 1.41% | 世界最大の半導体受託製造企業 |
マイクロン・テクノロジー、サムスン電子、SK hynix、TSMCは、いずれも半導体業界を代表する企業であり、過去1年間で高い株価上昇率を記録しています。
これは、世界的なデジタル化の進展やAI、5Gなどの新技術の普及により、半導体需要が急増していることを背景としています。
中でもTSMCは、世界中の企業から製造を受託するビジネスモデルで高い収益性を誇り、過去1年間で88.57%という驚異的な上昇率を達成しました。
また、サムスン電子は、スマートフォンや家電など、半導体以外の事業も幅広く展開しているため、収益の安定性が高い点が魅力です。
一方、半導体業界は、需要変動が大きいため、業績が不安定になりやすいという側面も持ち合わせています。
さらに、米中貿易摩擦のような地政学リスクも、企業の業績に影響を与える可能性があります。
投資を検討する際には、これらのリスクも踏まえ、将来の見通しや財務状況などを慎重に分析することが重要です。
10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015 | 104.7 | 0 | 104.7 | 104.7 |
2016 | 43.2 | 0 | 43.2 | 43.2 |
2017 | 67.9 | 0 | 67.9 | 67.9 |
2018 | 131.6 | 0 | 131.6 | 131.6 |
2019 | 98.7 | 0 | 98.7 | 98.7 |
2020 | 166.9 | 0 | 166.9 | 166.9 |
2021 | 223.1 | 0.6 | 223.7 | 223.7 |
2022 | 288.5 | 1.3 | 290.4 | 290.6 |
2023 | 151.8 | 1.4 | 155.1 | 154.3 |
2024 | 325.4 | 6.9 | 329.4 | 331.4 |
もし10年前にMUに100万円を投資していた場合、2024年8月時点での評価額は約325.4万円になっており、投資額は約3倍に増加しています。
2015年から2018年にかけては、メモリ需要の増加を背景に株価は大きく上昇しました。しかし、2019年にはメモリ需要の減速により株価は下落し、2020年にはコロナ禍の影響も重なってさらに下落しました。
しかし、2021年以降は、再びメモリ需要が回復し、株価は上昇に転じています。
リスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 1.18 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場平均を上回る |
52週ボラティリティ | 151.54% | 過去1年間の株価の変動幅 | 非常に高い |
シャープレシオ | 1.43 | リスクに対するリターンの大きさ | 比較的高い |
トータルリターン(1年) | 70.73% | 過去1年間の株価上昇率と配当金を合わせたリターン | 高い |
最大ドローダウン | -43.38% | 過去1年間で最も大きく下落した率 | 大きな下落リスク |
PBR | 2.71 | 株価が純資産の何倍になっているか | 割高傾向 |
BPS | 40 | 1株あたりの純資産 | |
ROE | -3.43% | 自己資本利益率 | 低い |
MUは、メモリ市場の需要変動に大きく影響を受けるため、業績の安定性には欠けます。また、競争の激しい業界であり、技術革新のスピードも速いため、常に競争に勝ち抜いていく必要があります。
投資戦略の提案
MUへの投資は、成長の機会を提供する一方で、一定のリスクも伴います。
- 長期投資の視点:
メモリ市場は、需要変動が大きいですが、長期的に見ると成長が見込まれます。 - 分散投資:
MUはボラティリティが高いため、ポートフォリオの一部として保有することでリスクを分散できます。 - 業績や業界動向の注視:
投資する際には、MUの業績やメモリ市場全体の動向を注視することが重要です。
まとめと投資判断のポイント
MUは、世界的なメモリメーカーとして、成長市場において重要な役割を担っています。AI、5G、IoTなどの普及により、メモリ需要は今後も増加すると予想され、MUはその恩恵を受ける可能性があります。
一方で、メモリ市場は需要変動が激しく、MUの業績もその影響を受けやすいという側面があります。
MUの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
メモリ市場の成長性
→AI、5G、IoTの普及により、メモリ需要は中長期的に拡大が見込まれます。MUは世界トップクラスのシェアを持つため、市場成長の恩恵を受けやすい立場にあります。
財務状況
→2024年8月時点では、PBRは2.71倍と割高傾向にありますが、BPSは40と堅調です。自己資本利益率(ROE)は-3.43%と低い点は懸念材料ですが、今後の改善に期待したいところです。
配当金
→2021年から配当金の支払いを開始し、2022年には大幅な増配を実施しました。しかし、配当利回りはまだ低く、安定性も高くありません。
市況の影響を受けやすい
→メモリ市場は需要と供給のバランスによって価格が大きく変動する傾向があり、MUの業績もその影響を受けやすいです。
ボラティリティの高さ
→MUの株価は、過去10年間で大きく変動しており、ボラティリティが高い点は投資判断において考慮が必要です。
コメント