近年、株式投資だけでなく、債券投資にも注目が集まっています。
特に、米国債券市場全体に分散投資できるAGGは、安定的なリターンと配当収入を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
しかし、AGGは本当に儲かるのでしょうか?リスクはないのでしょうか?
この記事では、AGGの特徴やメリット・デメリット、そして将来性について詳しく解説します。
具体的には、過去10年の株価推移やS&P500との比較分析、配当金シミュレーション、さらには類似ETFとの比較を通して、AGGの実力を徹底的に検証していきます。
この記事を読むことで、AGGへの投資判断に必要な知識を深め、ご自身の投資戦略にAGGを組み込むべきか判断できるようになるでしょう。
AGGとは?
AGGの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | iシェアーズ・コア米国総合債券ETF |
ティッカーシンボル | AGG |
運用会社 | iシェアーズ |
経費率 | 0.03% |
ベンチマーク | ブルームバーグ米国総合債券インデックス |
設定日 | 2003年9月26日 |
運用資産額 | 約1,180億ドル |
特徴 | 米国債券市場全体に投資 |
iシェアーズ・コア米国総合債券ETF(AGG)は、米国の投資適格債券市場全体のパフォーマンスに連動することを目的としたETFです。
ベンチマークであるブルームバーグ米国総合債券インデックスは、米国で発行されている投資適格債券(BBB格以上)で構成される指数です。このETFは、米国債、社債、モーゲージ債など、幅広い債券に投資することで、リスク分散効果を高めています。低コストで米国債券市場全体に投資できるため、投資初心者にもおすすめのETFです。
過去10年のAGGの株価チャートと分析
AGGの株価は、2020年までは比較的安定した推移を見せていました。しかし、2022年以降は、米国における金利上昇の影響を受けて価格が下落しています。債券価格は金利と逆相関の関係にあるため、金利が上昇すると債券価格は下落する傾向があります。AGGは、米国債券市場全体に投資しているため、金利上昇の影響を受けやすいと言えます。
S&P500過去1年分チャートとの比較と分析
過去1年間のAGGとS&P500のパフォーマンスを比較すると、AGGはS&P500よりもリターンが低くなっています。AGGは債券ETFであり、株式ETFであるS&P500と比較して、リスクが低くリターンも低い傾向があります。株式市場が好調な時には、S&P500の方が高いリターンが期待できます。しかし、株式市場が下落している局面では、AGGの方が下落幅が小さく、ポートフォリオの安定化に貢献する可能性があります。
AGGで配当金生活はできる?配当金の分析
AGGの過去の配当金と増配率、その分析
AGGは、過去10年間、毎年安定して配当金を支払っています。債券ETFは、株式ETFと比較して配当金の安定性が高い傾向があります。しかし、AGGの増配率は安定しておらず、減配する年もあります。
AGGの配当金利回りの推移
AGGの配当利回りは、過去10年間で2%~4%の間で推移しています。AGGの配当利回りは比較的安定しています。しかし、配当利回り自体は高くはないため、高配当を目的とした投資には向いていない面もあります。
過去AGGに投資していた場合のYOCシミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2014 | 3.23% |
2015 | 3.29% |
2016 | 3.29% |
2017 | 3.25% |
2018 | 3.34% |
2019 | 3.17% |
2020 | 3.01% |
2021 | 3.12% |
2022 | 3.67% |
2023 | 3.58% |
2024 | 3.64% |
YOC(Yield on Cost)とは、投資元本に対する配当利回りのことです。過去にAGGに投資していた場合、いつ購入していた場合もYOCは3%前後で推移しています。例えば、2014年にAGGに100万円投資していた場合、2024年のYOCは3.23%となり、年間約3万円の配当金を受け取ることができます。しかし、YOCは株価の変動によって大きく変わる可能性があるため、注意が必要です。
AGGの将来のYOC予想シミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2024 | 3.64% |
2025 | 3.60% |
2026 | 3.56% |
2027 | 3.52% |
2028 | 3.48% |
2029 | 3.43% |
2030 | 3.39% |
2031 | 3.36% |
2032 | 3.32% |
2033 | 3.28% |
2034 | 3.24% |
過去10年の株価成長率をもとに将来のYOC予想シミュレーションを行ってみると、現在の株価と配当利回りが維持された場合、100万円投資すると初年度の配当金は約3.64万円となり、10年後にはYOCは約3.24%まで低下すると予想されます。
これはFRBの利上げによる金利環境の変化により、直近の債権価格げ下落していることがシミュレーションに反映されています。
今後利下げが進んだ場合、債権価格は上昇することが予想されるため、あくまで現在の金利環境をもとにしたシミュレーションであることを理解しておきましょう。
過去の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
AGGで月10万円の配当金を受け取るには?AGGの配当金受取シミュレーション
配当金生活をするには?毎月の配当受取目標と必要な投資額のシミュレーション ※日次更新
(毎月◯万円配当を受け取るために必要な投資額)
銘柄 | 株価 | 配当利回り | 月間配当目標 | 必要投資額 | 必要投資額 (課税考慮) |
必要株数 |
---|---|---|---|---|---|---|
AGG | $97.79 (¥15,227) |
3.96% | ¥10,000 | ¥3,033,408 | ¥4,229,721 | 278株 |
¥30,000 | ¥9,100,224 | ¥12,689,164 | 834株 | |||
¥50,000 | ¥15,167,041 | ¥21,148,607 | 1,389株 | |||
¥100,000 | ¥30,334,081 | ¥42,297,214 | 2,778株 |
為替レート: 155.71円/ドル
米国債ETF:TLT、EDV、AGGを比較!
銘柄名 | 銘柄コード | 過去1年のパフォーマンス | 配当利回り | 経費率 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
iシェアーズ米国債20年超ETF | TLT | -0.56% | 4.14% | 0.15% | 残存期間20年超の米国債に投資 |
バンガード超長期米国債ETF | EDV | -1.24% | 4.35% | 0.06% | 残存期間20~30年の米国債に投資 |
iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF | AGG | 2.37% | 3.81% | 0.03% | 米国投資適格債券市場全体に投資 |
TLT、EDV、AGGはそれぞれ異なる特徴を持つ米国債ETFです。過去1年のパフォーマンスはEDVが最も高く、次いでTLT、AGGとなっています。
EDVは残存期間20~30年の超長期米国債に投資しており、金利低下局面での価格上昇余地が大きいです。一方で、金利上昇局面では価格下落リスクも大きくなります。
AGGは米国債券市場全体に投資しており、リスク分散効果が高いです。経費率も最も低く、幅広い債券に投資したい方におすすめです。
TLTは残存期間20年超の超長期米国債に特化しており、金利変動に対する感応度が高いです。金利低下局面では大きなリターンが期待できますが、金利上昇局面では価格下落リスクも大きくなります。
AGGへ過去に投資していた場合の累積トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 6.3% |
3年 | -6.6% |
5年 | -1.4% |
7年 | 7.4% |
10年 | 15.2% |
AGGに過去に投資していた場合、10年間で15.2%のリターンを得ることができました。AGGは、長期投資することでプラスのリターンが期待できるETFと言えます。しかし、短期投資ではマイナスになる可能性もあるため、注意が必要です。
AGGへ過去に投資していた場合の年率(CAGR)トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 6.3% |
3年 | -2.2% |
5年 | -0.3% |
7年 | 1.0% |
10年 | 1.4% |
AGGに過去に投資していた場合、10年間の年率リターンは1.4%でした。AGGは、株式ETFと比較して年率リターンは高くありません。しかし、債券ETFは株式ETFよりもリスクが低いため、安定したリターンを求める投資家に向いていると言えます。
AGGへ10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015 | 98.1 | 2.4 | 100.5 | 100.5 |
2016 | 98.1 | 2.3 | 102.9 | 103.0 |
2017 | 99.3 | 2.3 | 106.3 | 106.6 |
2018 | 96.7 | 2.9 | 106.6 | 107.0 |
2019 | 102.0 | 2.8 | 114.7 | 115.8 |
2020 | 107.3 | 2.3 | 122.3 | 124.2 |
2021 | 103.6 | 1.8 | 120.4 | 122.1 |
2022 | 88.1 | 2.1 | 107.0 | 106.7 |
2023 | 90.1 | 2.8 | 111.9 | 112.6 |
2024 | 88.7 | 2.7 | 113.1 | 114.2 |
AGGへ10年前に100万円投資していた場合、評価額は約89万円、配当金を再投資することで、約114万円になっていました。
AGGのリスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 1.00 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場平均と同じ |
52週ボラティリティ | 5.78% | 株価の変動幅 | 債券ETFとしてはやや高い |
シャープレシオ | 0.73 | リスクに対するリターンの大きさ | 債券ETFとしてはやや低い |
トータルリターン(1年) | 6.20% | 過去1年間のリターン | 債券ETFとしては平均的 |
最大ドローダウン | -18.43% | 過去最大の資産下落率 | 債券ETFとしてはやや大きい |
AGGのリスクファクター分析によると、直近の利上げ環境の影響でトータルリターンが低くなっているものの、52週ボラティリティは5.78%と比較的低く、最大ドローダウンも株式に比べると低い水準です。シャープレシオは0.73と高くないため、大きいリターンを得たい投資家には不向きといえるでしょう。
比較的リスクの低い債権投資ですが、金利環境により大きな損失を被る可能性があることも認識しておく必要があります。
AGGへの投資戦略の提案
AGGは、米国債券市場全体に投資するETFであり、以下のような投資戦略が考えられます。
- 長期投資: AGGは、長期投資することで安定したリターンが期待できるETFです。そのため、長期的な資産形成を目的とした投資に適しています。
- 分散投資: AGGは、株式と比較してリスクが低いため、ポートフォリオの分散投資に活用することができます。株式ETFと組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら、安定したリターンを目指すことができます。
- インカムゲイン: AGGは、安定した配当金が期待できるETFです。そのため、配当金を目的とした投資にも適しています。
まとめ:AGGへの投資判断のポイント
AGGは、米国債券市場全体に投資する、低コストで分散投資に適したETFです。長期投資することで安定したリターンと配当金が期待できます。一方で、株式と比較してリターンは低く、金利上昇局面では価格が下落するリスクがあります。そのため、投資目標やリスク許容度に応じて、AGGへの投資を検討する必要があります。
AGGの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
米国債券市場全体への分散投資
→米国債券市場全体に投資することで、リスク分散効果が高く、特定のセクターや企業の業績悪化の影響を受けにくい点が魅力です。
安定した配当収入
→AGGは、過去10年間、毎年安定して配当金を支払っており、配当収入を目的とした投資にも適しています。
低コスト
→AGGの信託報酬は0.03%と低く、運用コストを抑えることができます。
長期投資に最適
→AGGは、長期投資することで安定したリターンが期待できるETFです。
金利上昇リスク
→AGGは、金利上昇局面では価格が下落するリスクがあります。
株式と比較してリターンは低い
→AGGは、株式ETFと比較してリターンは低いため、大きなキャピタルゲインは期待できません。
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