毎月安定した収入が欲しい!そんな投資家に人気の高配当ETF「XYLD」。
しかし、高配当と聞いて飛びつくのは少し待ってください。
XYLDはS&P500に連動しながらも、カバードコール戦略を用いることで高配当を実現しているETFです。この戦略はメリットだけでなく、デメリットも存在します。
そこで今回は、XYLDの仕組みや特徴、そして将来性について詳しく解説し、投資判断のポイントをわかりやすくお伝えします。XYLDへの投資を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
XYLDの魅力:5つのキーワード🔑
高配当
S&P500連動
毎月分配
インカムゲイン狙い
リスク管理重要
XYLDとは?
XYLDの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | Global X S&P 500 Covered Call ETF |
銘柄コード | XYLD |
配当利回り | 9.21% |
設定日 | 2013/06/24 |
運用資産額 | 約29.38億ドル |
経費率 | 0.60% |
ベンチマーク | CBOE S&P 500 BuyWrite Index |
運用会社 | Global X Funds |
企業概要 | S&P500に連動するカバードコール戦略を用いたETF |
Global X Fundsが運用する、S&P500を対象にカバードコール戦略を用いたETFです。カバードコール戦略とは、株式を保有しつつ、その株式に対するコールオプションを売却することで、安定的なインカムゲインを狙う戦略です。
銘柄の特徴
高配当:
XYLDは高い配当利回りを提供しており、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
S&P500連動:
S&P500指数に連動するため、米国を代表する大型株のパフォーマンスを享受できます。
毎月分配:
毎月分配金が支払われるため、安定的なキャッシュフローを期待できます。
カバードコール戦略:
カバードコール戦略を採用することで、株価の下落リスクをある程度抑制できます。
株価上昇余地は限定的:
カバードコール戦略の特性上、株価が大きく上昇した場合の利益は限定的となります。
ベンチマークの説明
XYLDのベンチマークであるCBOE S&P 500 BuyWrite Indexは、S&P500指数に連動しつつ、カバードコール戦略を用いてオプションプレミアムを得ることを目的とした指数です。具体的には、S&P500の構成銘柄を保有し、同時に1ヶ月後に満期を迎えるS&P500のコールオプションを売却することで、プレミアム収入を得ています。
セクター比率
セクター名 | 比率(%) |
---|---|
テクノロジー | 32.28 |
金融 | 12.65 |
ヘルスケア | 11.92 |
消費循環財 | 10.19 |
コミュニケーションサービス | 8.84 |
工業 | 7.89 |
生活必需品 | 5.79 |
エネルギー | 3.67 |
公益事業 | 2.48 |
不動産 | 2.27 |
素材 | 2.02 |
XYLDは、S&P500をベンチマークとしているため、米国市場全体と同様にテクノロジーセクターの比率が最も高くなっています。また、金融やヘルスケアセクターも大きな割合を占めています。このセクター構成は、米国経済の成長を牽引する主要セクターへの分散投資を可能にする一方で、これらのセクターの景気動向に左右されやすいという側面も持ち合わせています。
過去10年の株価推移チャートと分析
XYLDの株価は、2018年までは上昇トレンドで推移していましたが、2019年以降は下落トレンドに転じています。カバードコール戦略を採用しているため、株価が大きく上昇した局面では利益が限定的となり、株価上昇の恩恵を受けにくい傾向があります。一方で、高配当を維持している点は魅力的です。
S&P500過去1年分チャートとの比較と分析
過去1年間のパフォーマンスを比較すると、XYLDはS&P500に劣後しています。これは、XYLDがカバードコール戦略を採用しているため、株価上昇の恩恵を受けにくいためです。しかし、下落局面ではS&P500よりも下落幅が小さく、耐性が高いことが分かります。
XYLDの配当金の分析
過去の配当金と増配率、その分析
XYLDは、高水準の配当金を維持していますが、配当金の額は変動しており、安定性には欠ける点が懸念されます。これは、カバードコール戦略によるオプションプレミアム収入が市況によって変動するためです。
将来のYOC予想シミュレーション
年 | 予想YOC(%) |
---|---|
2024 | 9.21 |
2025 | 9.10 |
2026 | 8.99 |
2027 | 8.88 |
2028 | 8.77 |
2029 | 8.67 |
2030 | 8.56 |
2031 | 8.46 |
2032 | 8.35 |
2033 | 8.25 |
2034 | 8.15 |
現在の株価上昇率・利回りが継続した場合、10年後も高水準のYOCを期待できます。
例えば、100万円を投資した場合、初年度の配当金は約9.2万円となり、10年後には約8.1万円の配当金を受け取ることが期待できます。
複利効果によって、配当金も再投資することで、資産はさらに増加する可能性があります。
とはいえ、過去の傾向がマイナス成長なのは気になるポイントです。
しかし、これはあくまで過去の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
QYLD・XYLD・RYLD・JEPQ・JEPI比較!高配当ETFで賢く資産運用!
銘柄名 | 銘柄コード | 過去1年のパフォーマンス | 配当利回り | 経費率 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
Global X NASDAQ 100 Covered Call ETF | QYLD | 3.58% | 11.69% | 0.61% | NASDAQ100に連動し、コールオプションの売却による安定的なインカム収入を目指す |
Global X S&P 500 Covered Call ETF | XYLD | 2.97% | 9.38% | 0.60% | S&P500に連動し、コールオプションの売却による安定的なインカム収入を目指す |
Global X Russell 2000 Covered Call ETF | RYLD | -7.97% | 12.26% | 0.60% | Russell2000に連動し、コールオプションの売却による安定的なインカム収入を目指す |
JPMorgan Nasdaq Equity Premium Income ETF | JEPQ | 13.89% | 9.16% | 0.35% | NASDAQ100に連動し、ELNとコールオプションの売却によるインカム収入を目指す |
JPMorgan Equity Premium Income ETF | JEPI | 5.69% | 7.19% | 0.35% | S&P500に連動し、ELNとコールオプションの売却によるインカム収入を目指す |
カバーコール戦略とは、株式を保有しつつ、コールオプションを売却することで、安定的なインカム収入を得る戦略です。株価が横ばいか緩やかに上昇する局面では有効ですが、株価が大きく上昇する局面では利益が制限される可能性があります。
一方、JEPQとJEPIは、それぞれNASDAQ100、S&P500に連動し、ELN(Equity Linked Notes)とカバーコール戦略を組み合わせたETFです。ELNとは、株式や株価指数に連動する債券の一種で、通常の債券よりも高い利回りが期待できます。
過去1年のパフォーマンスを見ると、JEPQが13.89%と最も高く、次いでJEPIが5.69%となっています。QYLD、XYLDはそれぞれ3.58%、2.97%と、比較的安定したパフォーマンスを示しています。
一方、RYLDは-7.97%と、マイナス成長となっています。
配当利回りは、QYLDが11.69%と最も高く、次いでRYLDが12.26%となっています。JEPQ、XYLD、JEPIはそれぞれ9.16%、9.38%、7.19%と、こちらも比較的高い水準です。
経費率は、JEPQとJEPIが0.35%と最も低く、QYLD、XYLD、RYLDは0.60%前後となっています。
このように、各銘柄にはそれぞれ特徴があります。どの銘柄を選ぶかは、自身の投資目標やリスク許容度などを考慮して判断する必要があります。
10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015 | 97.9 | 4.4 | 102.2 | 102.2 |
2016 | 92.8 | 3.0 | 100.1 | 99.9 |
2017 | 97.9 | 1.5 | 106.8 | 106.9 |
2018 | 109.2 | 0 | 118.1 | 119.3 |
2019 | 95.4 | 0 | 104.2 | 104.1 |
2020 | 109.7 | 6.4 | 124.9 | 126.2 |
2021 | 99.0 | 9.0 | 123.3 | 122.9 |
2022 | 108.8 | 11.3 | 144.4 | 146.5 |
2023 | 84.5 | 8.9 | 129.0 | 122.6 |
2024 | 88.5 | 4.6 | 137.7 | 133.1 |
10年前にXYLDに100万円を投資していた場合、配当金によって安定的な収入を得ることができたと考えられます。しかし、株価の値上がりは限定的であり、キャピタルゲインは大きく得られなかった可能性があります。
リスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 0.51 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場平均よりも低い |
52週ボラティリティ | 10.16% | 株価の変動幅 | 比較的低い |
シャープレシオ | 1.45 | リスクに対するリターン | 高い |
トータルリターン(1年) | 13.36% | 1年間のリターン | 高い |
最大ドローダウン | -5.33% | 最大の下落率 | 比較的低い |
PER | 21.03 | 株価収益率 | 市場平均並み |
市場平均より低いベータ値
高いシャープレシオ
株価上昇の余地は限定的
XYLDは、市場平均より低いベータ値と高いシャープレシオを示しており、リスクを抑えつつ効率的なリターンを得られる可能性があります。ただし、カバードコール戦略の特性上、株価上昇の余地は限定的である点は理解しておく必要があります。
投資戦略の提案
- インカムゲイン重視の長期投資: XYLDは高配当ETFであるため、配当金を目的とした長期投資に適しています。
- ポートフォリオの安定化: XYLDはS&P500と高い相関性を持つため、ポートフォリオ全体のリスクを抑える効果が期待できます。
- ドルコスト平均法: 株価変動リスクを抑えるために、ドルコスト平均法で積立投資を行うのも有効です。
- 分配金の再投資: 分配金を再投資することで、複利効果による資産増加を狙うこともできますが、税金面の影響も考慮する必要があります。
まとめと投資判断のポイント
XYLDは、S&P500に連動するカバードコール戦略を用いた高配当ETFです。毎月分配金が支払われるため、安定的なキャッシュフローを期待できます。しかし、株価上昇の余地は限定的であり、配当金の安定性にも欠ける点には注意が必要です。投資判断を行う際には、自身の投資目的やリスク許容度を考慮し、XYLDの特徴を十分に理解した上で判断することが重要です。
XYLDの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
高配当・毎月分配
→XYLDは高い配当利回りを実現し、魅力的な分配金を毎月受け取ることができます。
S&P500への連動性
→米国を代表する優良企業で構成されるS&P500に連動するため、安定したパフォーマンスを期待できます。
カバードコール戦略による下落リスクの軽減
→カバードコール戦略は、株価下落局面においても一定の利益を得られる可能性があり、リスクを抑えたい投資家に適しています。
株価上昇余地の限定性
→カバードコール戦略の特性上、株価が大きく上昇した際の利益は限定的となります。
配当金の安定性
→分配金は市場環境によって変動する可能性があり、安定性に欠ける側面があります。
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