米国債券に投資したいけど、個別銘柄を選ぶのは難しい…と感じている方はいませんか?
そんな方におすすめなのがETFです。
今回は、20年超の米国債にレバレッジをかけて投資できるETF「TMF」について詳しく解説します。
TMFは、金利低下局面で大きなリターンが期待できる一方、金利上昇局面では大きな損失を被るリスクもあります。
リスクとリターンを理解した上で、TMFへの投資を検討してみましょう。
TMFの魅力:5つのキーワード🔑
20年債券の価格上昇を目指す
金利変動リスクヘッジ
長期国債金利と逆相関
ボラティリティの高い銘柄
金利動向に左右されるパフォーマンス
TMFとは?
TMFの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | Direxion Daily 20+ Year Treasury Bull 3X Shares |
銘柄コード | TMF |
運用会社 | Direxion Shares ETF Trust |
経費率 | 1.04% |
ベンチマーク | ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Index |
TMFは、Direxion Shares ETF Trustが運用するレバレッジ型ETFです。ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Indexのパフォーマンスの3倍に連動することを目指しています。 つまり、ベンチマークとなる20年超の米国債の価格が1%上昇した場合、TMFは約3%上昇し、逆に1%下落した場合には約3%下落することを目指します。
銘柄の特徴
- 20年超米国債のレバレッジ型ETF: TMFは、20年超の米国債市場にレバレッジをかけて投資したい投資家にとって魅力的な選択肢です。
- 金利変動リスクヘッジに活用可能: 金利上昇局面において、株式や債券ポートフォリオのヘッジとして活用できます。
- 高いボラティリティ: レバレッジ型ETFであるため、価格変動が大きく、リスクが高い投資となります。
- 短期投資向け: 複利効果の影響を受けるため、長期保有には向いていません。
- 金利低下局面で高いリターン: 金利が低下する局面では、大きなリターンが期待できます。
過去10年の株価推移チャートと分析
TMFの株価は、過去10年間で大きく変動しています。2015年から2019年までは比較的安定した推移でしたが、2020年には新型コロナウイルスの影響で金利が低下し、大幅な上昇を見せました。しかし、2022年以降は金利上昇の影響を受け、下落トレンドとなっています。2020年の上昇率は37.20%と非常に高く、投資家に大きな利益をもたらしました。一方で、2023年には-68.77%と大幅な下落を記録しており、TMFの高いボラティリティが顕著に表れています。
S&P500過去1年分チャートとの比較と分析
過去1年間のTMFのパフォーマンスは-4.55%と、S&P500の19.04%と比較して大きく下回っています。これは、2022年以降の金利上昇局面において、TMFが大きな影響を受けたためです。一方で、金利が低下する局面では、TMFはS&P500を大きくアウトパフォームする可能性も秘めています。TMFはハイリスク・ハイリターンな投資と言えるでしょう。
TMFの配当金の分析
過去の配当金と増配率、その分析
TMFは、分配金が比較的高い水準で推移しています。しかし、分配金の安定性には欠けており、2020年には14.71ドルと高額な分配金が支払われましたが、2021年には0.36ドルと大幅に減少しました。これは、TMFが金利動向に大きく影響を受けるためです。
配当金利回りの推移
TMFの配当利回りは、市場平均を大きく上回る高水準で推移しています。しかし、配当利回りの変動幅が大きく、金利動向によって大きく変化する点に注意が必要です。
将来のYOC予想シミュレーション
年 | 予想利回り |
---|---|
2024 | 4.00% |
2025 | 3.64% |
2026 | 3.32% |
2027 | 3.02% |
2028 | 2.75% |
2029 | 2.51% |
2030 | 2.29% |
2031 | 2.08% |
2032 | 1.90% |
2033 | 1.73% |
2034 | 1.57% |
現在の株価上昇率・利回りが継続した場合、100万円をTMFに投資すると、初年度の配当金は約4万円と予想されます。10年後には、約1.57万円の配当金を受け取ることが予想されます。
しかし、これはあくまで過去10年の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
類似ETF/銘柄との比較
銘柄名 | 銘柄コード | 過去1年のパフォーマンス | 特徴 |
---|---|---|---|
Direxion デイリー20年超米国債ブル3倍ETF | TMF | -4.55% | 20年超の米国債にレバレッジ3倍で投資するETF |
iシェアーズ 20年超米国債ETF | TLT | 5.56% | 20年超の米国債に投資するETF |
バンガード エクステンドデュレーション米国債ETF | EDV | 4.52% | 20年超の米国債に投資するETF |
過去1年のパフォーマンスを比較すると、TLTが最も高いパフォーマンスを示しています。これは、昨年から今年にかけての長期金利の低下局面において、20年超の米国債価格が上昇したためと考えられます。TLTは、20年超の米国債に投資するETFであり、長期金利の低下局面では大きなリターンが期待できます。
一方で、TMFはレバレッジ型ETFのため、リスクが高く、長期金利の上昇局面では大きな損失を被る可能性があります。EDVはTLTと同様に安定したパフォーマンスを見せており、長期金利の低下局面で大きなリターンが期待できます。
投資をする際は、それぞれのETFの特徴を理解し、自身の投資スタイルやリスク許容度に合わせて銘柄を選択することが重要です。長期金利の動向はこれらのETFのパフォーマンスに大きく影響するため、今後の金利動向にも注意を払う必要があります。加えて、レバレッジ型ETFであるTMFは、短期的な値動きが激しいため、より慎重な投資判断が必要です。
リスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
ベータ | 6.30 | 市場全体の動きに対する感応度 | 市場平均よりも大幅に高い |
52週ボラティリティ | 77.21% | 価格変動の大きさ | 非常に高い |
シャープレシオ | 0.12 | リスクに対するリターンの効率性 | 低い |
トータルリターン(1年) | -4.55% | 過去1年間のトータルリターン | マイナス |
最大ドローダウン | -38.11% | 最大の下落率 | 非常に大きい |
TMFは、ベータ値が6.30と非常に高く、市場平均よりも大幅に価格変動が大きいことがわかります。また、52週ボラティリティも77.21%と非常に高く、価格変動リスクが大きいことを示しています。さらに、シャープレシオは0.12と低く、リスクに見合ったリターンを得られていないことを示唆しています。TMFはハイリスク・ハイリターンなETFであるため、リスク許容度の高い投資家向けの商品と言えるでしょう。
投資戦略の提案
TMFへの投資は、金利低下局面において大きなリターンが期待できる一方、金利上昇局面では大きな損失を被るリスクがあります。
- 短期的な投資: TMFは、レバレッジ型ETFであるため、複利効果の影響を受けやすく、長期保有には向いていません。短期的な金利動向を見極め、売買タイミングを計ることが重要です。
- ヘッジとしての活用: 金利上昇リスクヘッジとして、株式や債券ポートフォリオの一部に組み入れることで、リスク分散効果が期待できます。
- 少額での投資: 高いボラティリティを考慮し、損失リスクを限定するために、少額での投資から始めることをおすすめします。
- 金利動向の注視: TMFへの投資は、金利動向に大きく左右されます。常に最新の金利情報を収集し、分析することが重要です。
まとめと投資判断のポイント
TMFは、20年超の米国債にレバレッジをかけて投資するETFです。金利低下局面では大きなリターンが期待できますが、金利上昇局面では大きな損失を被るリスクがあります。高いボラティリティとリスクを理解した上で、短期的な投資やヘッジとしての活用を検討することが重要です。投資判断を行う際には、最新の金利動向や自身の投資目標、リスク許容度を考慮しましょう。
TMFの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
金利低下局面での高いリターンポテンシャル
→20年超の米国債金利が低下すると、TMFの価格が上昇する可能性があります。
金利変動リスクヘッジとしての活用
→株式や債券ポートフォリオの一部にTMFを組み入れることで、金利上昇リスクをヘッジすることができます。
高いボラティリティ
→レバレッジ型ETFであるため、価格変動が大きく、リスクが高い投資となります。
複利効果の影響
→レバレッジ型ETFは複利効果の影響を受けやすいため、長期保有には向いていません。
経費率の高さ
→TMFの経費率は0.95%と、一般的なETFと比較して高くなっています。
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