米国債は安全資産として知られていますが、超長期米国債に特化したETFであるEDVは本当に安全なのでしょうか?近年、金利上昇の影響で債券市場は大きく変動しており、EDVのパフォーマンスも低迷しています。
この記事では、EDVの特徴、メリット・デメリット、リスクファクターなどを分析し、投資判断のポイントを分かりやすく解説します。
EDVの過去10年の株価推移や配当金、S&P500との比較、さらには将来のYOC予想シミュレーションまで網羅的に紹介します。
この記事を読むことで、EDVへの投資判断に必要な知識を深め、あなた自身のポートフォリオにEDVが適しているかどうかを判断できるようになるでしょう。もしかしたら、あなたの投資戦略に新たな視点が加わるかもしれません。
EDVとは?
銘柄の基本情報概要
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄名 | バンガード超長期米国債ETF(Vanguard Extended Duration Treasury ETF) |
ティッカーシンボル | EDV |
運用会社 | Vanguard |
信託報酬 | 0.06% |
ベンチマーク | Bloomberg U.S. Treasury STRIPS 20-30 Year Equal Par Bond Index |
設定日 | 2007-12-06 |
運用資産額 | 約40億ドル |
配当利回り(2024) | 4.57% |
特徴 | 超長期米国債 |
EDVは、Vanguardが運用するETFで、ブルームバーグ米国債ストリップス20-30年均等額面債券インデックスのパフォーマンスに連動することを目指しています。このインデックスは、満期が20年から30年の米国ゼロクーポン国債で構成されています。
※ベンチマークの説明
EDVのベンチマークであるBloomberg U.S. Treasury STRIPS 20-30 Year Equal Par Bond Indexは、20年から30年満期の米国債ストリップス債で構成されています。ストリップス債とは、利付債の利息部分と元本部分をそれぞれ分離して発行された債券のことです。このインデックスは、米国政府の信用力に裏付けられた、安全性の高い投資対象となっています。
EDVの過去10年の株価チャートと分析
EDVの株価は、2015年から2019年までは比較的安定した推移を見せていました。しかし、2020年以降は下落トレンドに転じており、2023年には大きく下落しています。これは、米国における金利上昇の影響を受けていると考えられます。
EDVは超長期国債に投資しているため、金利変動の影響を受けやすいという特徴があります。金利が上昇すると、債券価格は下落する傾向があります。
EDVのS&P500過去1年分チャートとの比較と分析
過去1年間のチャートを見ると、EDVはS&P500に対して大きく劣後しています。S&P500が上昇トレンドにある一方で、EDVは下落トレンドにあります。これは、米国における金利上昇の影響を受けているためと考えられます。
ただし、株式市場が下落する局面では、EDVはS&P500よりも下落幅が小さい傾向があります。これは、米国債が株式よりもリスクが低いためです。そのため、EDVは株式市場のリスクヘッジとしても活用できます。
EDVで配当金生活はできる?配当金の分析
EDVの過去の配当金と増配率、その分析
EDVは、高い配当利回りを提供しています。2024年時点の配当利回りは4.57%です。しかし、過去の配当金の推移を見ると、配当金は安定しておらず、増配も不規則です。これは、EDVが投資している超長期国債の金利変動の影響を受けているためと考えられます。
EDVの配当金利回りの推移
EDVの配当利回りは、市場平均を上回っている期間が多いです。
過去EDVに投資していた場合のYOCシミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2014 | 2.63% |
2015 | 2.88% |
2016 | 2.98% |
2017 | 2.69% |
2018 | 2.87% |
2019 | 2.51% |
2020 | 2.14% |
2021 | 2.33% |
2022 | 3.94% |
2023 | 4.02% |
2024 | 4.57% |
過去にEDVに投資していた場合、YOCは比較的安定しています。例えば、2014年にEDVに100万円投資していた場合、2024年のYOCは2.63%となり、年間約2.6万円の配当金を受け取ることができます。
過去投資していた場合のYOCが低いのは、直近の金利環境により株価が下落していることが原因です。
今後の利下げが進んだ場合、債券価格も上昇することが予想されるため、過去投資していた場合のYOCも改善する可能性があります。
EDVの将来のYOC予想シミュレーション
年 | YOC |
---|---|
2024 | 4.57% |
2025 | 4.35% |
2026 | 4.15% |
2027 | 3.95% |
2028 | 3.76% |
2029 | 3.59% |
2030 | 3.42% |
2031 | 3.25% |
2032 | 3.10% |
2033 | 2.95% |
2034 | 2.81% |
過去10年の株価成長率をもとに将来のYOC予想シミュレーションを行ってみると、現在の株価と配当利回りが維持された場合、100万円投資すると初年度の配当金は約4.57万円となり、10年後にはYOCは約2.81%まで低下すると予想されます。
こちらも過去投資していた場合のYOCと同様、現在の金利環境により直近の債券価格が下落していることが原因です。
これはあくまで過去の成長率が継続した場合のシミュレーションであり、将来の配当金の支払いや成長を保証するものではないため注意が必要です。
EDVで配当金生活をするには?EDVの配当金受取シミュレーション
配当金生活をするには?配当金による不労所得でFIREはできる?
毎月の配当受取目標と必要な投資額のシミュレーション ※日次更新
(毎月10万円配当を受け取るために必要な投資額)
銘柄 | 株価 | 配当利回り | 月間配当目標 | 必要投資額 | 必要投資額 (課税考慮) |
必要株数 |
---|---|---|---|---|---|---|
EDV | $76.01 (¥11,398) |
4.01% | ¥10,000 | ¥2,989,773 | ¥4,168,878 | 366株 |
¥30,000 | ¥8,969,320 | ¥12,506,633 | 1,098株 | |||
¥50,000 | ¥14,948,866 | ¥20,844,388 | 1,829株 | |||
¥100,000 | ¥29,897,732 | ¥41,688,777 | 3,658株 |
為替レート: 149.95円/ドル
EDVへ過去に投資していた場合の累積トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 4.0% |
3年 | -43.5% |
5年 | -37.3% |
7年 | -23.9% |
EDVに過去に投資していた場合、2020年以降は損失が出ていることが分かります。特に、3年以上の長期投資では大きな損失が出ています。これは、米国における金利上昇の影響を受けているためと考えられます。
EDVへ過去に投資していた場合の年率(CAGR)トータルリターン
期間 | リターン |
---|---|
1年 | 4.0% |
3年 | -17.3% |
5年 | -8.9% |
7年 | -3.8% |
EDVに過去に投資していた場合、1年の短期投資ではプラスのリターンを上げることができていましたが、3年以上の中長期投資ではマイナスのリターンとなっています。
EDVは、金利変動の影響を受けやすい投資商品であるため、長期投資には不向きであると言えます。
EDVへ10年前に100万円投資していた場合のシミュレーション
年 | 評価額(万円) | 配当額(万円) | 評価額+配当累計額(万円) | 配当再投資評価額(万円) |
---|---|---|---|---|
2015 | 91.3 | 3.9 | 95.2 | 95.6 |
2016 | 88.3 | 4.7 | 96.9 | 97.5 |
2017 | 97.6 | 2.9 | 109.0 | 110.6 |
2018 | 91.5 | 2.7 | 105.6 | 107.0 |
2019 | 104.9 | 3.7 | 122.6 | 126.3 |
2020 | 122.9 | 6.8 | 147.5 | 155.0 |
2021 | 113.0 | 2.2 | 139.7 | 145.5 |
2022 | 66.8 | 2.2 | 95.8 | 90.8 |
2023 | 65.4 | 2.5 | 96.8 | 92.3 |
2024 | 57.6 | 1.9 | 90.9 | 84.4 |
EDVへ10年前に100万円投資していた場合、2022年以降は元本割れを起こしています。
配当金を再投資することでリターンを増やすことはできますが、金利上昇局面ではリターンがマイナスになる可能性があることがわかります。
EDVのリスクファクター分析
項目 | 値 | 説明 | 評価 |
---|---|---|---|
52週ボラティリティ | 20.59% | 過去1年間の価格変動の大きさ | 比較的高い |
シャープレシオ | -0.38 | リスクあたりのリターン | 低い |
トータルリターン(1年) | 3.91% | 過去1年間のトータルリターン | 低い |
最大ドローダウン(5年) | -0.60 | 過去最大の値下がり幅 | 大きい |
EDVのリスクファクター分析の結果を見ると、ボラティリティとドローダウンが大きく、シャープレシオが低いことが分かります。これは、EDVが金利変動の影響を受けやすい投資商品であることを示しています。
EDVへの投資を検討する際には、これらのリスク指標を理解しておくことが重要です。
EDVへの投資戦略の提案
EDVは、超長期米国債に投資するETFであり、高配当と金利リスクヘッジを期待できる投資商品です。しかし、金利上昇局面では価格が大きく下落するリスクがあるため、投資戦略を立てる際には以下の点を考慮する必要があります。
- 長期投資: EDVは金利変動リスクが高いものの、長期的に見ると米国債は安定した投資対象とされています。そのため、長期投資の視点で保有することで、金利変動リスクを軽減できる可能性があります。
- 分散投資: EDVは株式や他の資産クラスとは異なるリスク・リターン特性を持っているため、ポートフォリオに組み入れることで分散投資効果が期待できます。
- 金利動向の注視: EDVは金利変動の影響を受けやすいため、投資する際には今後の金利動向を注視することが重要です。金利上昇が予想される場合は、EDVへの投資を控えるか、投資比率を下げるなどの対策を検討する必要があります。
- リスク許容度の確認: EDVは価格変動リスクが高い投資商品であるため、投資する前に自身の投資経験やリスク許容度を確認することが重要です。
まとめ:EDVへの投資判断のポイント
EDVは、超長期米国債に投資することで高配当と金利リスクヘッジを期待できるETFです。一方で、金利変動リスクが高く、特に金利上昇局面では価格が大きく下落する可能性があります。
EDVへの投資を検討する際は、長期投資の視点、分散投資の一環としての活用、金利動向の注視、そして自身のリスク許容度を十分に考慮する必要があります。
EDVの投資判断で重要なポイントと評価
総合評価:
高配当利回り
→2024年時点の配当利回りは4.57%と高水準。
金利リスクヘッジ
→株式市場の下落局面では、S&P500よりも下落幅が小さい傾向。ポートフォリオの分散効果に期待。
金利上昇リスク
→超長期債のため、金利上昇の影響を受けやすい。金利上昇局面では価格が大きく下落する可能性。
価格変動リスク
→ボラティリティとドローダウンが大きく、価格変動リスクが高い。
長期投資の視点
→金利変動リスクが高いものの、長期的に見ると米国債は安定した投資対象。長期投資の視点で保有することで、金利変動リスクを軽減できる可能性。
分散投資
→株式や他の資産クラスとは異なるリスク・リターン特性を持つため、ポートフォリオに組み入れることで分散投資効果が期待。
コメント